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第49章 俺が可愛くないから!

مؤلف: 美木 猫助
last update تاريخ النشر: 2026-08-12 14:02:41

『お帰りはいつになりますか?』

 ──今日はいつ頃帰るか訊ねて、夕食時にでも言いましょう。

『明日は何時頃に帰りますか?』

 ──今日言えなかったら、明日。じゃあ何時頃のお帰りになるかしら?

『明日は何時ごろに寝ますか?』

 ──もしも言えなかったら……流石に結婚記念日前日には言いましょう。寝る前とか。

『記念日の夜は?』

 ──寝る前にも言えなかったわ。じゃあ記念日の夜、寝る前に言いましょう。

(いつ俺に離婚を言い出そうかと、悩んでいる……?)

『イアン──私と離婚して下さい』

(あの美しい声音で言われるんだ。残酷過ぎる……! ……この三年間と三百六十三日で、俺はオリヴィアの心の憩いの場所になる事は出来なかったのか。オリヴィアを俺から解放してあげた方がむしろ幸せなのか……?)

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  • 愛する妻が置き手紙一つ置いて家出をしました。~初恋を拗らせた旦那様は妻を取り戻したい~   101話 ついに離婚ですか!?

    ※    アンはオリヴィアを起こす為に、彼女の部屋のドアをノックするも反応がない。ゆっくりとドアを開けると姿がなかった。昨夜、オリヴィアがイアンへ謝罪に向かってから戻ってきていないようだ。 (仲直りしたか)  アンはチッと舌打ちをした。  今度はオリヴィアの部屋と繋がった夫婦の寝室のドアを叩くと反応がない。寝台はもぬけの殻でシーツに乱れがなかった。 (あの男の部屋に行ったっきりか……?)  そして、夫婦の寝室に繋がったイアンの部屋の扉をノックしようとしたら、名前を呼ばれて手を止めた。声がした方に視線を送るとエレンだった。 「奥様がしばらくは一人にして欲しいって言ってたわ」 「一人に? なぜです?」 「昨日、旦那様とお話しされて色々考えたいんですって」 「ついに離婚ですか?」  やった、とアンは笑顔になった。エレンの顰め面なんて見てもいなかったし「違うわよ」という否定の言葉も聞いていない。 「と、とにかく! 部屋に行ってはダメよ!」  エレンからギュッと手を握られ念押しされているものの、アンは返事だけして全く聞いていなかった。彼女の頭の中は『オリヴィア様とあの男が離婚する』という事でいっぱいだった。 「人の話を聞いてる!?」  グイッと顔を覗き込まれ、エレンの手を払い今度は自分が彼女の手を握り締め、己に引き寄せた。  スラッと背が高く、中性的な顔をしているアンから顔を近付けられて同性にも関わらずエレンはドギマギしてしまう。しかも、 「エレン、ちゃんと聞いてます」  女性にしては低音で、耳元で囁かれ顔が一気に熱くなった。先ほど、オリヴィアの『愛された跡』というのを同時に思い出してしまって余計に顔が火照ってしまった。 「お嬢様が考えるお時間を邪魔しません」  エレンはアンを何度も振り返って、「ぜ、ぜったいにそっとしとくのよ……!」と念を押しながらその場を後にした。  アンは笑顔のまま手を振って見送る。彼女が廊下を曲がったのを見届けて「よっしゃーーーー!!」とガッツポーズ。 「オリヴィア様は

  • 愛する妻が置き手紙一つ置いて家出をしました。~初恋を拗らせた旦那様は妻を取り戻したい~   100話 アンには絶対内緒

     自分の顔を両手で挟んでオリヴィアは叫び声を上げた。  鏡に映るオリヴィアは六歳の頃のオリヴィアだった。あんぐりと口をあけたまま、夢かと思って自分のお腹を抓ってみたが……痛い。と言ってもさっき顔を強打した時に夢ではないと立証済みである。 「うぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ???」 (好きな人と一つになったら、若返るって効果があるの?) 「こんな姿でイアンにキスしたら、イアンが捕まっちゃうわね……」  「──奥様」と扉をコンコンと叩く音でオリヴィアはピョンと跳ね上がった。慌てて寝台へ戻り、シーツへ潜る。 「叫び声が聞こえましたが、どうされました?」 「エレン……だ、大丈夫、ベッドから寝ぼけて落ちたの!」  メイドのエレンだ。心配そうな声音で扉の前に彼女は立っていた。 「ケガはされていませんか? 救急箱をお持ちしましょうか?」 「だ、大丈夫よ! 痛くないから……!」  と言えばエレンは「しかし……そんな叫び声ではありませんでした」と食い下がらない。 「あ、あ、あの、お腹がちょっとだけ、痛くて」 「ではお腹を温める物をお持ちしましょう」  まずい。  この姿を見られたら、誰か分からずに追い出されてしまう。 「そ、その、痛いって言うのは、病気じゃなくて、その、イアンと、昨夜、あれを、したからなの! あれっていうのは、交わりね!!」  他人に言うとなると恥ずかしく、全身カァーと赤くなってしまう。 「奥様のお身体を考えず激しめにされたんですね?」  信じられない、と軽蔑の声が上がってオリヴィアは心中でイアンに謝罪した。昨夜の彼はとても優しかった。誤解を解こうと口を開いたものの、それを告げるには少々ばかり遅かったようである。 「あんなデカい身体で向かってこられたら、お腹痛いで済む筈ありませんわ。そんな奥様を一人放って置いてお勤めに出て行かれるなんて夫失格です。身を清めるお風呂の準備と医者の手配を致します」 「医者!?」 (大袈裟じゃない!?)  ドアの前を去ろうとするエレンをオリヴィアは呼び止めた。この姿でみんなの前に

  • 愛する妻が置き手紙一つ置いて家出をしました。~初恋を拗らせた旦那様は妻を取り戻したい~   99話 わたし、子供になってる!?

     ※ 「うん……」  オリヴィアは目を擦りながら、重たい瞼を持ち上げて目を覚ました。カーテンから漏れる光は明るみがあって、陽が差し始めたようだ。  キョロキョロと見回すとイアンの姿がない。いつもなら隣で寝ているのに。居た筈の場所に触れると冷たくなっていてオリヴィアは寂しそうに俯いた。 「初めてしたあとに居なくなるなんて、ひどいわ」  拗ねたようにプゥと頬を膨らませる。しかし、ベッド端に置かれたワゴンの上のケーキ皿が空になっていて、オリヴィアは目を輝かせた。 「食べてくれたんだわ……」  ベッドから起き上がることはせず、腹ばいでワゴンへ近付く。きっとアンが居たら行儀が悪いって注意されるだろうけど、今はアンは居ないからいくらしたって怒られない。  ケーキ皿を覗くとメモに気付いて、オリヴィアは手に取った。 『おはよう。 ヴィーにたくさんキスをしたいから予定より早めに切り上げる為に少し早いが仕事へ出かける。 今日も愛してるよ。 イアンより』 「フフッ」と顔を綻ばせ、オリヴィアは転がりながらベッドの中央に戻る。起きる時間にしてはいつもより早いが、眠気はもう残っていない。それでも起き上がるのが面倒なオリヴィアはゴロゴロとベッドに転がったまま、イアンが帰宅したら彼に飛び付いて、私からキスをしようと計画を立てた。きっと驚くはず。  その表情を思い浮かべてニヤニヤする。  それから、うーんと寝転んだまま背伸びをした。 (とっても、身体が軽いわ)  腰も痛くない。  飛べそうなくらい身体が軽い。 (イアンと気持ちが通じ合って、心が軽くなったからね)  それが、身体に直結しているのね、と結論付けた。 「喉の調子も良い」  すっきりしている。いつもより声が高いような気もする。 「好きな人と繋がるって、身体に変化をもたらすのね……」  夜の情事を思い出して、赤くなる。イアンの声は低いとは知っていたけど、耳元で聞くと、その低音があんなに響くなんて知らなかった……。

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